言わないのは賛成してる?反対?

f:id:wada_opinion:20240130060242p:image

何も言わないことに対して「否定している」とか「賛成している」と決めつける論法は、しばしば「沈黙の論理的誤謬」と呼ばれます。

 

「誤謬」(ごびゅう)とは、誤った推論、間違った論理、または不正確な結論を指します。論理的な議論や思考過程において、正しくない前提や推論に基づいて結論に至ることを指す言葉です。

 

沈黙の論理的誤謬は、以下のような形式を取ります:
1. 個人Aが主題Xについて言及していない。
2. したがって、個人Aは主題Xに関して特定の意見や態度(通常は肯定的または否定的)を持っている。

 

これは、沈黙を何らかの意見や立場の表明と解釈することに基づいています。

 

この論理的誤謬の問題点は、沈黙には多くの理由があるという事実を無視している点にあります。沈黙は無関心、知識不足、意見の未形成、または単に話題に対するコメントを避けたいという意思など、さまざまな理由によるものかもしれません。

 

このように、沈黙を特定の意見の表明として解釈することは、論理的根拠がなく、しばしば誤解や不正確な結論を導く原因となります。

特に学術的な議論や論理的な分析においては、沈黙の論理的誤謬は避けるべきです。なぜなら、このような推論は証拠に基づく合理的な議論を弱め、誤った前提に基づく結論につながる可能性があるからです。

意見や態度を理解するためには、直接的な発言や明確な証拠に基づく分析が必要です。沈黙の論理的誤謬に頼ることは、論理的思考や客観的分析において不適切なアプローチとされます

本人が何も言っていない時点で決めつけるという点においても卑怯かつ、身勝手な行動と言えるでしょう。

あくまで対話や議論の中で理解を深め、他人の沈黙について断定的な解釈を避け、代わりにその人の意見や立場を直接尋ねることが重要です。