リンチの集団心理

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リンチという極端な暴力行為に関わる集団心理は、非常に複雑で、多くの心理的、社会的要因が絡み合っています。

リンチのような集団による暴力行為は、通常、以下のような要素によって影響されます。

 

1. 非人間化: リンチの対象となる人々は、しばしば非人間化されます。これにより、加害者は自分の行為が、実際の人間に対するものではないかのように軽んじる事が可能になり、罪の意識を低くさせてしまいます。

2. 集団同一性: 個々の責任感が低下し、集団の一員としての行動が強化されます。集団内での同調圧力アイデンティティの共有が、暴力行為を容易にします。よって、1人ではやらない、現実ではやらない行為が可能になります。

3. 権威への服従: 集団のリーダーや権威ある人物が暴力を奨励する場合、その命令に従う傾向があります。すべての人には当てはまりませんが、逆に強く当てはまる人もいます。

4. 脱抑制: 集団においては、通常は抑えられている衝動や暴力的な行動が許されるようになり、個々人の抑制が低下します。戦争の時に、過度な暴力が発生する要因とも言えます。

5. 感情の感染: 恐怖、怒り、復讐心などの感情が集団内で共有され、相乗効果を生み出します。しばしばグループ内で、感情が増幅してしまう様子は、様々なところで見ることが出来ます。逆にグループ外からすると、違和感を感じる原因でもあります。

6. 正当化と合理化: 集団は自らの行動を正当化し、しばしば「正義の実現」として合理化します。この感覚により、無敵の人が出来てしまい、殺人事件に発展する事例も発生しています。

7. 匿名性: 集団内の匿名性は、個人の抑制を解き放ち、通常は行わないような行動をとることを可能にします。集団で行うので、さも自分は大勢の1人という錯覚に陥り、行動が大胆になる人がいます。

8. 社会的・文化的背景: リンチのような暴力行為は、特定の社会的、文化的な状況や歴史的背景に根ざしていることが多く、これらの要因が行動の触発や正当化に寄与します。人種差別や、イデオロギーによる衝突などが起因になることが、これに当たると思います。

 

リンチのような集団による暴力行為は、これらの集団心理的要素によって説明されることが多いですが、その背後にはより深い社会的、歴史的、文化的な要因が存在することを理解することが重要です

そして、ネット社会において、特定の思想から集団での攻撃が問題化している現在においては、問題の本質に関係する重要な側面だと思います。